第85回 レポートや提案書等を纏める時は3点が理想である。

令和元年6月18日

■レポートや提案書等を纏める時は3点が理想である。

何かを纏める時は簡潔さが重要です。レポートは小説ではないので、内容が把握出来ればいい訳です。何かテーマがあって説明をする時は要点を3 点位に絞って纏めると判り易いです。レポート用紙も1 枚が理想です。だらだら書いて5 枚や10 枚になってしまう事はNGです。私も昔は書くのが仕事でしたから良く判るのですが、だらだら書くと読み手の方が参ってしまうのです。
トヨタ自動車においては、何かを説明する時はレポート用紙3 枚以下に纏める必要があるそうです。内容が膨大でどうしても3 枚以下に纏める事が出来ない場合、本来伝えたい事は3 枚以内に纏め、細部の説明は別の資料で説明する様です。トヨタ自動車に限りませんが、ビジネスの世界では説明は「長きを持って尊し。」とはしません。寧ろ簡潔な方を尊重します。
次に大事な事は、結論から書く事です。読み手の問題になりますが、書いた事を一言で言うと何になるのか考えるのが重要です。グダグダ説明するよりも一言で言うと、聞き手は印象に残ります。これが一番良く出来ているのが新聞です。見出しを見れば大体判ります。同じ様にレポートも表題が命です。
何を言いたいのかを表題に持ってきて、3 点に纏めて説明するのが理想だと思います。
この事を証明した人がいます。パレートというイタリアの経済学者です。彼が考えたパレート図というものがありますが、何かを説明する場合、上位三つを押さえれば、殆ど網羅するというものです。
例えば、組織があって何か成果を生み出さなければならないといった場合、大体2割の人が8 割の成果を上げているそうです。これを2・8 の原則といいます。我々の例だと2 割の顧客が売上の8 割を占めるという事です。売上高を把握する場合、全部の顧客を管理しようとしても、効率が悪すぎて駄目です。上位3 つのグループを抑えると全体の8 割が抑えられます。これがパレートの理論で別名、パレートの法則、2・8 の原則、ばらつきの原則、働きアリの原則と言われているものです。
働きアリの原則とは女王アリがいて、周りのアリが働いている訳ですが、2 割のアリが8 割の成果を上げているそうです。では効率を考えてこの2 割がいれば良いだろうと考えると思います。この2 割だけ残して他の首を切るとどうなるのかというと、この2割の中の8 割は仕事をしなくなります。こういう現象になりがちです。
皆様に考えて頂きたいのは、中国の諺で「鶏口となるも牛後となるなかれ」という事です。私が「成程なあ。」と思ったのは、皆様は誰もが一流企業や学校に入りたいと思うと思います。学力が同程度の場合、下のランクの学校で一番になる人と上のランクで一番下になる人だと、下のランクの学校で一番になった人のほうが伸びます。つまり、必ずしも一流組織や学校に入るのが良いのかというとそうではなく、そのレベルに合わせて力を発揮できる所に入ったほうが良いという事です。この諺は観念的に過去に中国人が考えた事ですが、パレートの図は正に同じ事を思いついた訳です。パレートの理論は私が印象に残っている理論の一つです。

■仕事を進める上で大事な事は、物事を客観的に見ることである。

我々が仕事をする上で大事な事はその仕事に取り掛かる前に客観的に見る姿勢です。
一面的に考えないで多方面から見るという事です。抽象的だと思われがちですが、どんな仕事だろうと複眼的に見て「何故」を5 回繰り返す事が重要です。仕事をやる時に本質を見極める為には一歩引いてみるという事です。
この項目は与えられた仕事の内容や情報はどのような事を表しているのか分析するという事です。これは演繹法と帰納法というアプローチの仕方があります。仕事を与えられた場合、法則やルールに物事を当てはめて結論を出す論理展開手法が演繹法です。前提に基づいて結論を出すという手法です。帰納法は複数の物事から共通点を導き出して結論を導き出す論理展開手法で複数の状況から結論を出す手法になります。
物事を考える時に疑って考えるのが重要で矛盾点を考えるのが大事です。これらの手法は仮説を立てて物事の本質的に何なのかを考えるという事です。何でも仕事をする時には確認が大事という事です。帰納的や演繹的に結論を出す時にそれぞれ仮説を確認するという事です。実務と理論は違いますがこういう理論を背景に判っていて行動に移すのが大事です。
物事を客観的に見て行動に移したり一歩引いたりして確認するのが大事です。仕事というのはこういうものです。意見提案をしたりする時、皆様全員が意識しているかどうかは判りませんがこういう事が重要です。

■仕事の要諦は出来る限り単純にする事。

アメリカの言葉に「Keep it sinple,stupid」というのがあります。KISS のルールと言われています。説明をする時は最終的には全てを説明する必要がありますが、パレートの法則で2 割で8 割は言い尽くせるので、上位3 つの事について理論的に説明すれば判るという事です。全部を説明すると逆に伝わらなくなります。