第130回 千年企業研究会(福井塾)議事録
令和6年7月16日
法人税について(概論)
前回は法人税を始めるにあたってのオリエンテーションの様なものでしたから、今回が本格的な講義の第一回となります。
先ずは皆さま方にテストをしたいと思います。
「収益」「益金」「収入」、「費用」「損金」「経費」、「利益」「所得」・・・・この違いが判りますか?この違いを明確に定義するのは日本語の曖昧さにより、かなり難しいものになります。例えば、役員会などで「収益性」が大事と言っても、これから話す「収益」と同じ定義で話しているかというとそうではありません。「利益」と同じように使っている場合もありますので、一筋縄ではいきません。では、一般的にはどうなのか回答していきます。
これらの言葉は会計上や法人税務上で呼び方が変わってきます。一般的に会計上では、収益―費用=利益となり、法人税務上では、益金―損金=所得と呼ばれます。収入―経費・・・こちらは個人の方に当てはまります。この公式は絶対に覚えて下さい。
では収益と益金の違いについてですが、判り易いものが「配当金」です。例えば、出資してその何%を配当金として受け取る事は、会計上は収益となりますが、益金では不算入となります。費用と損金の判り易いものが交際費で、会計上は一般費用となりますが、税務上は損金不算入となります。これは、交際費を無制限に損金算入として認めると税金を払いたくない会社が毎日の様に銀座で遊んで税金を払わなくなってしまうからです。ただし、交際費が全額損金不算入となるのは、資本金が100億を超える法人であり、その他の中小企業等は800万円若しくは50%に相当する額迄は損金算入が認められていたりします。
別途、代表的なものに減価償却費も挙げられます。減価償却はどうしてやるのかという事ですが、例えば機械を100万円で買ったとします。通常であれば、 100万円を直ぐ費用化してしまうところですが、その機械が10年もつのであれば、毎年10万円ずつ費用として計上していく事を減価償却と言う訳です。ところが、法人税ではある機械は10年、5年や3年といった償却期間、年数が経過した後に残る残存価額というものも決まっているんです。今は残存価額というものが無くなり、全額償却出来る様になった事で判り易くなりました。ここで一つ例を挙げると、10年と決められているものを5年で償却してしまった企業があったとします。そうすると早いピッチで費用化している訳ですよね、その費用化しているところは税金が少なくできてしまうのでそれはよくない、会計学上は5年だろうが、3年だろうと極端に言えば一気に償却が出来ます。しかし、税務申告をおこなった際に、税務上の償却期間は10年ですから、本来の償却分しか認められない事になります。その為、一般企業は償却が10年と決まっていれば99.9%が10年で償却をします。他にも役員報酬。役員報酬も定期同額と言って、期が始まる前にこの役員については年収いくらでそれを12ヶ月で割って払うことを決めてしまうと全額損金として認めてくれる訳です。だから、みんな大体そうしますよね、同業他社と比較して、あまりにも金額が多いと色々あったりはしますが、これらは細かく話していくと終わらなくなってしまう為、割愛します。
この4つの言葉を覚えてしまうと、殆ど法人税が理解出来てしまいます。収益を益金へ変える、費用を損金へ変えて、一定の税率を掛ける事で法人税が判る、この過程を確定申告と呼びます。個人で確定申告をしている方は2月14日から出せる様になりますが、確定申告の法人版を「別表」と呼びます。覚える必要はありませんが、別表1(公共)、別表2(公益)、別表3(協同組合)、別表4(一般企業)となります。我々がよく目にするものも別表4です。逆に本表というのも変ですが、それが決算書となる訳です。貸借対照表と損益計算書とそれから法人税の場合は株主資本等変動計算書、株主資本がどう動いたかというこの三表を指しますが、会計学上の決算三表はまた違う、貸借対照表、損益計算書は一緒だけど、三枚目はキャッシュフロー計算書となります。やはり企業は資金繰りが一番大事ですから、この様になる訳ですが、税務署はキャッシュフローがどう動いたのかはあまり興味がありません。その代わりに資本勘定がどう動いたのかいう事だけはきちっと把握したい、だから株主資本変動計算書を付けて下さいという事になります。
今日は大きく会計学と法人税額の言葉の違いを話してきました。会計学というものが法人税に引き込まれてしまっているので会計学を学べば法人税についても一緒に学べてしまう、また所得税をやってしまえば、殆どが所得税から分かれてきてるので網羅されているという考え方ができます。これから各論に入っていくと法人税特有のものの考え方もあるし、こういう事は覚えておかなければいけないというのも出てきます。でも会計を知らずして語っても無駄とまでは言えないまでも難しいので、本日は法人税特有の立ち位置がある事を覚えて頂いて総括とします。次回、 8月はお盆や夏休みがありますので、お休みとします。9月はレジュメに沿って話していきたいと思います。しっかり聞いて頂くと、その後の各論がより理解頂けると思いますので是非ご出席下さい。
以上